2006年04月12日

何となく終焉へのカウントダウン

最近、ばたばたしていて更新できない。

このペースだと、ブログよりも web page の方が合っているような気がするので、web page への移行が済んだら、ブログを閉じようかと思う。
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2006年01月23日

双曲線を用いたM推定

これは球面とは関係ないが、備忘録のつもり。

\psi(x)=\sqrt{x^2+e^2}, |e|<<1

なる双曲線\psiを誤差関数としてM推定をやるという話がある。これは|x|の近似。

この微分は

\psi'(x)=x/\sqrt{x^2+e^2} \approx \sign x

と符号関数の近似となる。この誤差関数は x\approx 0 で \psi(x)\approx e\neq 0 となるので、もともと誤差が少さいものはどうでも良くて、誤差が大きいデータのみ着目して誤差を減らすという働きをするという、ちょっと面白い推定になりそう。今度、何かに使ってみよう。
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2006年01月16日

森毅,線型代数-生態と意味-,日本評論社(1980)

ついめんどくさくて、二ヶ月ぶりの更新となってしまった。まぁ、おそらく今後もこんな調子になりそう。

この著者の森毅、数学者タレントとしての草分けと言っても良いのではないだろうか。ブログ筆者も若い頃、彼の講演を聴いたことがある。その講演の話は面白かったが後には何も残らなかったような気がする。数学者としての業績は良く分からないので、個人的には数学文筆者というイメージが強い。

さて、この本は、一度線型代数を学んだものが読んで、ふぅーん、と思う本なので線型代数の教科書と同様な評価は適さない。そこで適当に感想を綴ることにする。

第0章はなぜ線型代数か。これは哲学の問題。正比例の拡張として重要というところは納得がいく。

第1章は多次元量の乗法。行列の乗法(内積)を、製品の量を定めると原料の量が定まるという関数として導入する際に、製品をバターケーキとカップケーキにするという、所謂「バカ空間」を初めて知ったのはこの本。もう20年以上も前の話だ。これを題材にして行列の乗法を「まとめて考える」、つまり列ベクトルの線型結合の考えるという話をする。この章で注目すべきことは、
ベクトル \bm{a} のスカラー x 倍を \bm{a}x と表記することに躊躇しない点である。

つまり A\bm{x}=\sum \bm{a}_i x_i のように行列の順番通りに書きましょうという姿勢を貫いていることである。もちろん、将来テンソルの書き方に馴れてしまうと、どうでもよくなる些細なことではあるが、線型代数初学者に対しては、こういう細かい工夫は必要ではないかと思う。

第2章は直線と平面。座標についての話。アフィン空間についても述べており、アフィン部分空間のパラメータ表示と方程式(陰関数)表示も触れる。しかし

アフィン部分空間のパラメータ表示は、部分空間の内部における座標表示を外の世界から眺めたもの

という視点がきちんとかかれていないことは残念だ。あと、ker で割った商空間で準同型という話でこの章を閉じる。

第3章は次元。特に着目すべき点はないなぁ。

第4章は関数空間。多項式関数のなす空間は線型空間で、微分は線形写像。線型微分方程式の解空間は線型空間。階差も線形写像。シフト演算子を使って階差を表現。

双対空間のときに「バカ空間」が再登場するが、この説明は使えそう。

第5章は変換群。基本変形、掃き出しの説明。特になし。

第6章は内積。斜交座標の内積、双線形写像、距離(三角不等式とシュワルツの不等式)、シュミットの直交化法の概念を説明。基本的に雑文なので定式化はせず、3次元ぐらいを例にとって気持ちを述べているだけである。内積と双対の関係で締める。

第7章は幾何。アフィン空間についての説明。アフィン変換を平行移動で割れば線型変換という感じで終わり。あとは重心座標でチェバの定理。これを質点の力学で説明。この話は受験数学の裏技として長い歴史がある。ついで線型空間の切り口としてのアフィン空間を考えるので射影空間の話を簡単に。最後にアフィン空間に内積を定義すればユークリッド空間になるという話でおしまい。

第8章は面積。グラスマン代数として定義。符号付面積、クラメルの公式と説明する。この辺は行列式の多重線型性による定義を焼きなおしたものだから基本的にそれと同じ流れになる。

第9章は行列式。グラスマン代数で書く。積の行列式とその座標変換による解釈。

第10章は3次元空間。外積、等速円運動、四面体を例に体積=0として行列式を用いて平面の陰関数表示を考える。プリュッカー座標についても少し述べる。

第11章は複素数。大上段にテンソルの話をするが、複素平面でシムソン線の証明をやるだけ。

第12章は線型微分方程式。これを例に固有値、固有ベクトルの話の前振り。

第13章は固有値。スペクトル分解、ジョルダン標準形、行列の指数関数の話をする。しかし、ここで線型微分方程式に戻らないのが不思議。

第14章は2次曲面。2次曲面の標準化。2次曲面の接平面。

第15章は極値。極値付近を2次曲面で近似して状況を知りましょうという話。

第16章は振動。2階微分方程式の例として固有振動を扱う。

とまぁ、これでオシマイなのだが、昔読んだときはもう少し面白かったような気がするが、今回改めて読み直して、物足りなかった。それは、数ページの連載を纏めただけなので、その話も中途半端なところで終わっているからだと思う。また、前に読んでから20年経ったのだから、その間に自分の線型代数の知見も増えてしまったので、それゆえ楽しめなくなったのかもしれない。

おそらくは、この本の不足分を埋めようとすることが大切なのであろう。

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2005年11月17日

沼田久・行方常幸・森本仁・河口敏子・林善之・山本隆範著,経済・社会・工学・農学系のための線形数学(改訂),エフ・コピント・富士書院(1988)

まえがきが1989年3月、奥付が1988年4月となっているので、どちらかが間違いだろう。とりあえず奥付を採用しておく。

この本は北海道ローカルの書物と言っても過言ではない。6人の著者および出版社は全て北海道でもあるし。ただ、アマゾンでも買えるようだから紹介しても問題なかろう。アマゾンでは1989年1月発行となっている。うーむ、謎だ。

第1章は行列。数ベクトルを定義するが、それが正規直交基底でることを前提として内積を定義している。そして行列の定義。基本的に事実の羅列であるが、タイトルにあるように、各方面で行列がどう使われているかの例が豊富であり、材料力学の例ではヤコビ行列も登場している。個人的には大事だと思っている記述が例題に埋もれているのは残念。

第2章は行列式。置換を用いて定義して行列式の多重線型性について述べ、行列式の展開と逆行列。クラメルの公式は行列式の展開式との成分比較で。多重線型性を使ったほうが分かりやすいと思うのだけど、まぁ、こっちがスタンダードかな。

第3章は行列の階数・1次独立・次元。線型写像もここで述べる。まぁ普通。

第4章は連立1次方程式。基本変形で解をパラメータ表示する流れ。好ましい。掃き出し法を説明し、連立1次方程式を掃き出し法で解く、行列を掃き出し法で三角化して行列式を求める、逆行列を掃き出し法で求める方法について説明する。行列式を掃き出し法で求めさせるのは良いアイディアだ。

第5章は空間のベクトル。外積を説明してモーメントの話。スカラー三重積とベクトル三重積。あとは1985年から1994年までの高校で習った空間ベクトルの話をランクや行列式でやる話。例えば空間の2直線の位置関係を調べたり、ねじれの位置にある2直線の共通垂線分の長さを求める方法とか。

第6章は固有値。基本的に普通の流れであるが、相似な変換によって固有多項式が変わらないことから、行列を相似な変換で単純な形に整理して(Jordan標準形を目指すのではなく)求める手法は面白い。具体的には Xを

( O a_n)
( I a ), a=(a_{n-1},...,a_1)

とすると、Xの固有多項式が λ^{n}-a_1λ^{n-1}-…-a_{n-1}λ-a_n となることを利用する。確かに面白いが相似な変換で変換するのは馴れないと難しそうである。

第7章は2次形式。シルベスタの慣性法則、対称行列の対角化、ジョルダン標準形、二次曲面の分類をやる。ジョルダン標準形は結果だけ。

第8章は非負行列。さらっと流す程度。

第9章は凸集合と1次不等式。線型計画法の理論の準備。Stiemke,Tuckerの定理もやる。

第10章は線形計画法。シンプレックス法などを例題でじっくり説明している。

第11章は論理と集合。線型代数とかではなく、普通の論理と集合の話。真偽表とかね。

基本的に、理論は誰かが示してくれているから信じなさい。本書では例題を用いて使い方を教えますというスタンスの本である。例題は結構豊富なのでその意味では役立つ本である。個人的には固有多項式を基本変形の組み合わせで求める手法が気に入った。行列式を三角化による求める方法も含めて

基本変形万歳!!

という感じ。

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2005年11月08日

永田雅宜著,理系のための線型代数の基礎,紀伊國屋書店(1987)

英語力の無さから国際会議の原稿が煮詰まっているので、久しぶりの書評。

永田雅宜著と書いたが、これは代表著者であり著者は20人ほどとなっている。永田先生と言えば、可換環論。ひらがなで書けば「かかんかんろん」。良い響きだ。かかんかんろんといえばSyzygy(シチジー)が思い出される。今何時。

Syzygy については
http://mathworld.wolfram.com/Syzygy.html
を参照のこと。多変数多項式の最大公約数のようなものだと書いてある。

とりあえず、余談はこのくらいにして書評に移ろう。

第1章は行列と1次変換。この本が出版された頃は一次変換は高校で習うが複素平面は高校で習わないという頃である。それもあってか、少し複素数と複素平面に触れてから、n次元数ベクトル空間の定義に入る。この数ベクトル空間で用いる体は、実数体と複素数体の両方。ただし数ベクトル空間に関してあまり議論を深めないままに、通常のベクトル空間を定義する。この時点で筆者の意図は、有限次元ベクトル空間と、適切な次元の数ベクトル空間の間には同型写像が存在することを早く述べたいのであろうと予測されるものの、その意図を明確にしていないため、やや統一感に欠ける構成となっている。まぁ、先を予測しながら本を読むのも大切ですといわれればそれまでだが。

そして行列と一次写像である。行列の積を先に定義していて、ベクトルも行列の一種ですという流れなので、行列の積が線型変換の合成から自然と導かれる構造となっているという躍動感に欠けるのがさびしい。ただ同じ線型変換でもその表現は基底によって変わるとう、当たり前だが大切なことを意識している点は良い。簡単に言えば、ベクトルは基底行列と成分表示の積で表現されるということである。そして線型変換の色々な事象は、この積を利用して表現すると簡潔になる。特に基底変換と成分変換の双対性は、この観点がないと混乱する。

その次は、部分ベクトル空間。

dim(U+V) - dim (U) = dim (V) - dim (V ∩ U)

を準同型写像の絵を使って表現しているところは参考になる。つまり、

(1) ベクトル空間 U+V において U を同一視してできる空間( (U+V)/U; 商空間)
(2) ベクトル空間 V において V ∩ U を同一視してできる空間

は等しいということである。だから、次元においても等号が成立するというわけである。ただ、このように良い群論への布石がありながら、それを用いないまま終わるのは、やはり大学教養課程の教科書という位置づけだからだろうか。勿体無い。

Ker、Imに対しても、dim(U)-dim(Ker f)=dim(Im f) のように、準同型写像と商空間を意識した書き方になっているのに、あぁ勿体無い。

そして行列の階数と基本変形、転置行列、逆行列と足早である。基本変形、逆行列を定義しておきながら、掃き出し法を用いた逆行列の計算はしていない。不思議だ。というか、この本、掃き出し法が目次にないぞ!!(掃き出すという言葉はあるが、それはある行の成分を1つを除いて0にすることを指す)

そして、研究である体の定義で一章を終える。章末の演習問題は結構充実している。

第2章は行列式。置換と符号を定義し、行列式もそれで定義する。三角行列の行列式を先に提示するのは教育的だ。そして行列式の性質を述べ、その性質をみたすものは行列式の定数倍に限られることを示す。

そして行列式の展開。置換による行列式の定義の式を整理することによって公式を導いている。これを微分を絡めると面白いのになぁ。そういえば、微分を使っている本を見たことがないなぁ。今度考えてみよう。

余因子行列、小行列式と説明してVandermonde と巡回行列式を述べておしまい。この章の研究は充実している。行列式の歴史では関孝和の功績にふれている。3次元ベクトルの内積と外積は普通。グラスマン代数と行列式はまぁ、行列式の性質がグラスマン代数の定義と同じになってるねという感じ。ラプラス展開とプリュッカー座標はマニアックだ。プリュッカー座標は射影幾何で登場する、射影空間でグラスマン代数を用いるための座標である。

第3章は連立一次方程式。基本変形による解法(ガウスの消去法)、クラメルの公式を説明し、連立一次方程式の解空間がアフィン空間となることをさらっと述べる。研究ではアフィン空間についてそこそこ詳しく扱う。また別の研究では終結式と判別式について述べている。終結式とは多項式の共通解条件を行列式で表現したもので、判別式は解の差積の2乗である。ここでは判別式が、f(x)とf'(x)の終結式とほぼ等しい(等しいか−1倍)ことを示している。

第4章は計量ベクトル空間。内積の定義、グラムシュミットの直交化法、直交補空間、正射影と説明し、随伴写像を用いて複素線型空間の計量同型について述べる。そして双対空間。やはり説明は淡白で通り一遍(字はこれで良いのか)の解説で終わっている。

第5章は行列の標準化。固有値固有ベクトルを説明し、正規行列、対称行列、交代行列、直交行列のジョルダン標準形を提示。二次形式を説明して二次曲面の標準化。ケイリーハミルトンの定理、一般の場合のジョルダン標準形の理論を説明。正規行列について述べてある教養程度の本は珍しい気もするが、深入りしていないので残念。将来学ぶのでつまみ食いという感じか。

第6章は整式と方程式。1変数の多項式環とユークリッドの互助法。因数定理。素元分解(素因数分解)と原始多項式。3次方程式と4次方程式の解の公式、高次方程式とニュートン法を用いた近似解法。根と係数の関係。対称式と交代式。ユークリッド整域、代数学の基本定理。

これで本書が終わるのであるが、線型代数の本というよりも、線型代数の振りをした代数学の超入門書という感じである。なので線型代数マニアの人には物足りないだろう。ただ、教養程度の本でグラスマン代数とプリュッカー座標に触れられている点は評価できるので、少し難しい言葉を使いたい人は、この本を読むのも良いだろう。

教える側としては、本書の随所にある代数学的視点は役に立つのではないかと思うし、自分も大学の講義等で役立てたいと思う。






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インフルエンザ予防接種の値段

インフルエンザ予防接種は自由診療なのでその価格は病院が自由に決めてよいのだが、、、。

今日、病院の診察室の机の上にあった紙をなにげなく見てみた。

「市における単価は4000円で、市から2000円の補助がでます」

と書いてあり、実勢価格調査では0円〜6500円となっていた。どうも値段がおかしい。もちろん、技術料等、それなりの経費はつくのだろうが、注射を打つという技能の値段でこれだけ幅があるのは変である。ちょっと調べたところだと、インフルエンザの予防接種で病院にいくだけで、初診料もがっぽりとる病院があるから値段が高くなるという理由もあるようだ。ちなみに調べたところだと、ワクチンの原価は1000円程度である。高級なフランス料理店でもワインは市価の3倍程度。ソムリエの給仕という技術料込みでである。それから比べると、インフルエンザの予防接種で6500円は取りすぎでないかい?

医者というのは、命を楯にとることにより、やろうと思えばいくらでも合法的に儲けることができる職業である(勤務医はちょっと違うけど)。けれど節度をもってそこそこ儲ける程度で安住してもらいたいものだ。

まぁ、うちの場合は会社の団体割引が効くのか、ずっと安く打てるのでいいんですが。
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2005年11月01日

ICONIP2005で発表

気がついたら、2ヵ月半ぶりの更新。

まぁ人生色々あって更新できないときもあるのだ。とりあえず3ヶ月書き込みがないと消去されると思うので、なんか書いておかなければ。

今、ICONIP2005という、何だかぐだぐだな国際会議に参加している。何がぐだぐだかというとキャンセルが多いのだ。なんででしょう?

で、この会議は台北で開催されている。最近の国際会議は無線LAN完備でネットができる。随分進んだものだ。

今日、球面倶楽部の成果を発表してきた。僕の英語もぐだぐだだった。内容は3月のNCの英訳版。

小籠包。あつ、うま。
足つぼマッサージ。いた、いた。

夜、テレビで「悪作劇之吻」というのを見た。すごく面白かった。見ているうちは気付かなかったが、エンディングで「協力:集英社」となっていたので調べたところ、これは多田かおるのいたずらなKISSの台湾のドラマ化だそうだ。とにかくこれはいい。DVDが出たら買ってもいい。ただ、いたずらなKISSは連載中に作者が他界してしまったので未完なんだよなぁ。「悪作劇之吻」はどういうオチをつけるのだろうか。

ちなみに原作は読んではいない。連載終了後にまとめて読もうと思っていたのに作者が他界したため、死ぬまで読むまいと思っていたからだ。しかし、このドラマをみて考えを変えた。日本に戻ったら全巻そろえて呼んで、この続きがどうなるかに悶えたい。

あと、「庫洛魔法使」のアニメも良い。発音してみればわかるが、これはアレである。

日本語の声:100点、アメリカの吹き替え:20点、スペイン語の吹き替え:50点

につづいて、

台湾の吹き替え:90点

十分、萌えられます。

球面と関係ないなぁ。
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2005年08月15日

小島寛之著,ゼロから学ぶ線形代数,講談社(2002)

この本は、後に別の線型代数の本を読むときに何の役にも立たないよね。

と、直接著者に言ったことがある。本人は苦笑していたが。

この本は結局は行列式論の本であり線型代数の本ではない。それは出発点が行列式は符号付体積というのが出発点となっているからである。もちろん固有値、固有ベクトルなどにも触れてはいるが、それらは添え物程度である。

符号付体積 → 行列式の多重線形性 → クラメルの公式 → 行列の展開公式 → 行列式の具体的表現

という流れは、以前紹介した

S.Lang(芹沢正三訳),ラング線形代数学,ダイヤモンド社(1971)

の第6章と同じなので、ここで前言を撤回しておく。ラング線型代数学を読むとき、ゼロから学ぶ線形代数は役に立つ。しかしラング線型代数学は非常によく書けているので、ラング線型代数学があれば本書は不要という話もあるが。ただラング線型代数学は絶版だから、ラング線形代数学が図書館等に無い時、ラング線形代数学の雰囲気を味わうには良いかもしれない。

海原雄山に言わせれば、フグの白子と鱈の白子の違いかもしれないが。

目新しいことは、det(A)=det(A^{T}) という転置の公式を証明する際に用いる、ある置換とその逆置換の符号が等しいことを

(1)置換の符号は置換行列の行列式に等しい
(2)逆置換に対応する置換行列は、もとの置換に対応する置換行列の転置となる

事を利用して証明したことかな。

人にとっては読みやすいのだろうが、ブログ筆者にとっては読みにくい本であった。まず、フォントが苦手。こればっかりはどうしようもない。TeXのフォントに慣れすぎたかなぁ。次に著者の文体が苦手。感動を強要する大げさな文章は却って興ざめになってしまう。内容に集中できなくなってしまうのだ。

あとは、著者がポイントその4 ミステリー仕立ての会話で、疲れた頭にくつろぎのひとときを。で述べている「最後のエピソードを読み終わった読者諸氏が、なるほどとばかり爽やかな読後感を持って下さったら本望である」についてだが、ブログ筆者はオチを読んで頭を抱えてしまった。あいたたた、、、、。

ちなみに、著者を知っているので、こう書いているだけであって、あまり本気にしないように。
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2005年08月05日

球面に関する話題に乏しいなぁ。

よく考えれば、いや考えなくても球面に関する話題をしていないぞ。線型代数書評はそれなりに進んでいるが、、、。

これではいかんなぁ。でも暫くは線型代数書評ばかり続きそうな予感。
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S.Lang(芹沢正三訳),ラング線形代数学,ダイヤモンド社(1971)

この本は数年前に古本屋で買ったもの。個々には面白い所もあるのだけど、芯が通っていない感じがしてあまり好きではない。

第1章はR^nにおけるベクトル。昔の高校で習った平面ベクトル、空間ベクトルに複素数を加えたもの。複素平面には明に触れていない。ユークリッド基底を仮定して内積を導入。

第2章はベクトル空間。関数も例に出している。基底は線型独立な元の極大部分集合として定義。いくつかの定理を述べるだけで深入りはしていない。

第3章は行列。簡単な定義の後に一次方程式系へ。線型結合の係数が変数であるという見方を提示するに留める。行列の乗法はベクトルの内積。双対空間やテンソルを意識した記法を採用。

第4章は線形写像。例として微分写像を用いるのは好みのようだ。像と核の次元の和が全体の次元になること、同形写像、線形写像と簡単に触れる。

第5章は線形写像と行列。何故かこの章にはこだわっている。線形写像と表現行列を区別しており、しかも写像前の基底、写像後の基底を使って

(表現行列)=M_{原空間の基底}^{像空間の基底}(線形変換)

と気合を入れて表現しており、自分への写像において写像前と写像後の基底が異なる場合、高等写像に対応する表現行列は単位行列とならないと述べている。著者はこれが書きたかったに違いない。

第6章は行列式。多重線形性によって定義しており、具体的な表記が表に出ないままクラメルの公式を天下り的に証明している。そのあと行列式の存在を示す。この示し方は面白い。小行列式を用いた行列式の展開を利用して帰納的に次元を落としていき、1×1行列の行列式に帰着させる方法をとる。ここでも行列式の具体的な表記は顔を出さない。

その後、置換を定義し、置換を用いて先ほどの行列式が置換で表現できることを、行列式の一意性を用いて議論する。そして転置の行列式、行列の積の行列式について置換を用いて議論する。

逆行列についてはクラメルの公式を利用する。ここに行列式を定義する際の小行列式による展開が顔を出して、余因子行列が自然と導かれる。この部分は見事だ。

第7章はスカラー積と直交性。内積、フーリエ級数、グラム=シュミットの直交化法、シュバルツの不等式について述べ、エルミート積(複素ベクトル空間の内積)について同様の議論をする。後は一般の直交基底、双対空間と続き、なんと、ここで行列の階数が登場する。

行列Aによる線形写像に対して

(像の次元)+(核の次元)=(原空間の次元)

が連立方程式Ax=0の解集合と比較して

(列の張る空間の次元)+(解集合の次元)=(行の次数)

と同じ構造をしていることに着目して行列の階数を説明している。面白い試みである。

第8章は行列と双線形写像。対称作用素などの各種作用素について説明し、2次形式とシルベスターの慣性法則について述べる。

第9章は多項式と行列。行列に関する多項式、固有値と固有ベクトル、特性多項式を扱う。

第10章は、行列の三角化。ファン基底という言葉はこの本で始めて知った。他の本ではまだ見たことがないが。これを用いてハミルトン=ケーリーの定理を証明している。面白い。

第11章はスペクトル定理。

第12章は多項式と素因数分解。不変部分空間への分割とシュアの補助定理。

第13章は多重線形積。テンソル積、交代積。

第14章は群。第15章は環。付録に凸集合などを書いて終了。

特筆すべきものは、行列式の件と、線形写像と表現行列の部分だ。
posted by 球面調和関数 at 17:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 線型代数書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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